「わくわく」仕事がしたい!:『本気でゴールを達成したい人とチームのための OKR』を読んでみた

私の会社(技術部のみ)では,2019年1月から OKR を取り入れました.何となく分かったつもりでいました.しかし,やるからには OKR の事をきちんと知ろうと購入したのがこちらの本です.チームのリーダー向けに書かれていますが,リーダーだけでなく,いちメンバー,つまり全ての層の方にオススメしたい本です!

本気でゴールを達成したい人とチームのための  OKR

本気でゴールを達成したい人とチームのための OKR

目次

  • はじめに
  • 第1章:今こそ,組織の時代
  • 第2章:組織力の公式
  • 第3章:変えるべきは意識ではなく仕組み
  • 第4章:OKR(仕組み)で組織力が高まる
  • 第5章:OKR の始め方
  • 第6章:OKR の運用
  • 第7章:OKR 導入事例インタビュー

本書の特徴:Objectives は「目標」ではなく「目的」

本書では OKR(Objectives and Key Results) の O を「目標」ではなく「目的」という言葉を使って説明されています.OKR は目標管理手法の1つとして紹介されている記事がたくさんあり.その中で O は「目標」と訳されて使われることが多いです.

「目標」と「目的」は似たような言葉ですが,明確に分けられています.

  • 目標は「目的」達成の過程,すなわち,「目的」へと至るステップ
  • 目標は具体的,「目的」は抽象的
  • 仕事における「目的」は,その仕事に取り組む理由,意義といった意味も含まれることがある

両者の違いを踏まえ,定性的で「何を達成したいのか?」を表す Objectives は,「目的」という言葉が使われています.実は,Key Results の方こそ「目標」を意味するものと捉えることができる,とされています.

「目的」は「わくわく」の源泉!

第1章:1節「個人の時代と言うけれど」で,著者の考えとして,個人の働き方が大切にされる流れの中でも,大きな成果を生み出すには組織の力が欠かせないとあります.その組織のどの立場にいても以下のような「もやもや(ネガティブな感情)」が自然発生的に生まれます.

  • 経営者のもやもや
    • もっと経営者視点を持ってほしい
    • 戦略をきちんと実行してほしい
  • 上司のもやもや
    • 部下が指示待ちで困る.自主性を持ってほしい
    • 報告や連絡がこない
  • 部下のもやもや
    • もっときちんと指示を出してほしい
    • 報告や調整業務がめんどうだ

組織にはどうしても「もやもや」が生まれてしまうけれども,組織が存在し続ける理由として,組織の中に「わくわく」があるから,と書かれています.

目的を持つことこそが「わくわく」の源泉であり,普段以上の力を発揮させ,自分を成長させる重要な要素となります.

私の場合,何に「わくわく」するのか考えてみました.今までやったことがない事を任された時,難しそうな事を任された時など,何かを任された時は嬉しいものです.しかし,その嬉しさよりも,任された事ができるようになった時(未来)のことを想像して「わくわく」します.私1人だけでなく,チームのみんなが同じように「わくわく」しながら仕事ができたら,きっと今以上に楽しいでしょう!

とはいえ,全ての仕事が楽しいと思えるようなものではないと思います.そんな時は,少し時間がかかりますが,その仕事をする事で何か得られる事がないか,それをする事で少しでも周りの役に立てるなら,と腹落ちさせると「わくわく」が自然と出てきます.おそらく,これが本書で言われている「発想を変えていく」ということになるのかな,と思いました.

「目的(O)」を設定する時のコツ

コツの1つとして何が実現されたら最高の褒め言葉をもらえるかを考えてみる,ということが挙げられています.

「素晴らしい!期待以上だ!」と顧客が大喜びしている状況を想像してみましょう.その際,顧客を具体的に思い浮かべ,「◯◯さんが◯◯と言ってくれた」と顧客の褒め言葉をリアルに想像してみて,その時にいったい何が実現されているか,チームで考えてみてください.うまくいけば「目的」が設定できるだけでなく,チームに前向きな姿勢も醸成されます.

これを読み,「なるほど!」と思いました.「目的」の設定の仕方について視点が変わりました.「部の目標」と一貫性のある目標を設定しなければ,という考えが先にありました.一貫性を保つことは重要なことですが,上記引用のように考えることで,私自身の想いが込められた「目的」を設定できるようになったと思います.

「重要な結果指標(KR)」を設定する時のコツ

コツの1つとして「結果指標」を中心に設定する,ということが挙げられています.

KR には,可能な限り結果指標を中心に採用することが望ましいです.なぜなら,最終的な「目的」結果に基づくものであり,KR に行動指標を設定しても,目的に到達したか判断がつかないからです.

行動指標は,「100人に営業メールを送る」,「毎週1本ブログ記事をアップする」などのことです.これに対し「結果指標」は,「売上1億円」,「100万ページビュー」など,行動した結果を測る指標のことです.結果指標を設定することで,メンバーの行動を縛ることなく,創意工夫を行うことが求められます.

まさに今までの KR には「毎週◯◯を××回する」のような行動指標を設定していました.継続して行動できたことは,達成感や,成長の実感を得ることに繋がりました.しかし,それが本来の目的達成にどのくらい繋がったのか正直分かりませんでした.なので,第3四半期(7〜9月)の KR では「結果指標」を設定し,3ヶ月後,何か今までと変化があったのかなどを記事にしたいと思います.

最後に

OKR を設定することに悩まれている方は多いと思います.設定が完了してもそれで OK というわけではありません.「目的」を設定し,「結果指標」を設定した後は,どう行動していくか,が重要になってきます.OKR は,この「どう行動していくか」をチームのみんなと話合い,行動にうつしていくためのコミュニケーションツールなんだな,と感じました.このツールを活用し,チームのみんなで「わくわく」しながら仕事していけるよう邁進して参ります!